リノベで固定資産税は上がる? 下がる? 変わらない?

リノベーションをすると、固定資産税が上がるという話を耳にしたことはありませんか?
実際に、リノベは固定資産税に影響があるといえます。

では、どのように影響があるのか、この記事ではリノベーションと固定資産税の関係や税金が上がるケース、下がるケース、固定資産税を上げないリノベのポイントなどについてご紹介します。

目次

1. リノベーションと固定資産税の関係

なぜリノベーションに固定資産税が関係してくるのか、その仕組みから解説していきましょう。

(1)そもそも明確な基準はない

冒頭でリノベーションをすると固定資産税に影響するとご紹介しましたが、全く影響がないリノベーションも数多くあります。
そもそも明確な基準がないのが実情です。
ただし、大規模リノベーションなどで建築確認申請を行うような工事の場合は、
建物の大きさや価値が変わることから固定資産税に影響があることが多いでしょう。

(2)固定資産税はどうやって決まる?

固定資産税額は、住所地のある自治体の固定資産評価額がもととなります。
家屋の固定資産の評価は、屋根・外壁に使用される素材、設備のグレード、床面積などを家屋調査により判断し減点補正などで調整し評価されます。

(3)固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額は、毎年個人に届く納税通知書に添付されている、課税明細書の価格欄に記載されています。

上記以外の方法で調べるには、次の2つの方法があります。
1つ目は固定資産台帳の閲覧です。住所地のある自治体の窓口で固定資産税台帳の閲覧を申請します。

2つ目は固定資産評価証明書の取得です。
こちらも自治体の窓口で申請しますが、郵送でも取得が可能です。
詳しい申請方法は、各自治体の書類手続きに沿って行いましょう。

2. リノベーションと固定資産税のケース別解説

リノベーションがどのように固定資産評税に影響するのか、ここではそれぞれのケースごとにご紹介します。

(1)下がるケース

リノベによって固定資産税が下がるケースは、
「耐震リノベ」「バリアフリーリノベ」「省エネリノベ」「長期優良住宅化リノベ」の4つのリノベを行った場合です。

上記の4種類のリノベについては、次のような固定資産税の軽減措置があるため、一定期間は固定資産税が下がります。

リノベの種類軽減税額軽減期間
耐震固定資産税額の1/2工事完了の翌年分
バリアフリー固定資産税額の1/3工事完了の翌年分
省エネ固定資産税額の1/3工事完了の翌年分
長期優良住宅化固定資産税額の2/3工事完了の翌年分

耐震リノベは、昭和57年1月1日以前に建築された建物に対し、耐震リノベ費用50万円以上の施工を行った場合などが対象です。

バリアフリーリノベは、手すりやスロープの設置、すべりにくい床材への変更などのリノベが対象となり、
65歳以上または要介護・要支援・障害者が同居していることが要件になります。

省エネリノベは、窓・断熱改修や高効率空調等の設置などが対象となり、
平成26年4月1日以前に建築された住宅、省エネリノベ費用は50万円以上などが要件となります。

長期優良住宅化リノベは、長期優良住宅に仕様に準ずるリノベが対象となります。
軽減期間はいずれも工事完了の翌年1年分の対応です。
なお、軽減措置を受けるためには工事完了後すみやかに申告が必要ですので注意しましょう。

(2)変わらないケース

固定資産税が変わらないリノベは、単に古くなった設備や内装をもとに戻すような原状回復工事や、
大きな間取り変更を伴わないもの、建築確認申請が必要ないリノベなどです。
劣化した部分を新しくする大規模なリノベだとしても、メンテナンス程度の工事や評価に影響が少ない間取り変更の場合は、
評価額に大きく影響はないと判断されることが多いでしょう。

ただし、建築確認申請を必要とされるような、建築面積や床面積が変わるリノベの場合は固定資産税に影響する可能性があります。
事前に確認申請が必要なリノベなのか相談しておくと安心です。

(3)上がるケース

リノベによって固定資産税額が上がるケースは、「床面積の増加」「フルリノベーション」「利用目的の変化」などがあります。

増築などで床面積が増えたり、吹き抜け部分に床を作り延床面積が増えたりした場合には、固定資産の課税対象となります。
住宅だけではなく、車庫やサンルームなどを増やす場合にも床面積の増加となりますので、固定資産税に影響があります。

柱や梁だけを残すような大規模リノベーションでは、間取りも大きく変わり場合によっては床面積が変わることもあるため、
固定資産税に影響することがあります。

また、もともと住居のみだった建物を店舗併用住宅など、利用目的を変えるリノベーションを行う場合も、
固定資産税が変わる可能性が高いため注意が必要です。

3. 固定資産税を上げないリノベーションのポイント

前述でご紹介した通り、建物を床面積が変わるようなリノベや利用目的が変わるリノベの場合は、固定資産税が上がる可能性があります。
そのため、固定資産税を上げないためには、劣化した部分をメンテナンスするような「原状回復のためのリノベ」や、
「間取りを大きく変えないリノベ」などにすることがポイントです。

劣化した部分を新しくする原状回復リノベなら、床面積が変わることはほとんどありません。
また、建物の価値そのものも元に戻るのみですので変化はありません。

間取りを大きく変えない内装改修が中心のリノベも、床面積が変わらないなら影響はないでしょう。
いずれも建築確認申請が必要ない範囲内であることが必要です。
なお、単に耐震補強のためのリノベ、基礎部分に変化のないリノベも固定資産税は変わらないことが多いでしょう。

どのようなリノベが固定資産税に影響があるか、思った以上に細かく分類されていて、自分たちで判断するのは難しい場合があります。
リノベ後に固定資産税が上がってしまって後悔しないためにも、判断できない場合には事前にリノベ施工店に相談することをおすすめします。

まとめ

今回は、リノベーションが固定資産税にどのように影響するか、固定資産税の仕組みや調べ方、
リノベで固定資産税が下がるケース、上がるケースなどの事例も含めてご紹介しました。

新築とは異なり、リノベの計画段階ではなかなか気付かない部分でもあります。
リノベーションの場合でも固定資産税に影響があることが多いため、計画しているリノベーションが該当するか、
リノベ施工店などに事前に確認しておきましょう。