冬あたたかく夏涼しい、地震に強い家! 性能向上リノベとは?
冬はあたたかく、夏は涼しく快適な住環境を叶えるリノベや、地震に強く安心安全な住まいを実現するリノベを「性能向上リノベ」といいます。
省エネ効果や耐久性を維持するためには、性能向上リノベが重要なポイントです。
とはいえ、具体的にどのようなリノベを行うのか、わからない方も少なくないでしょう。
今回は、性能向上リノベについて具体的な方法やメリット・デメリット、リノベの費用目安などをご紹介します。
目次
1. 性能向上リノベとは|どんな方法があるの?
性能向上リノベとは、築年数の経過した既存住宅を、現在の標準的な新築住宅の性能以上を確保できるようにリノベーションすることを指します。
中古住宅の活用や住環境の改善で環境にやさしいリノベーションであることも特徴です。
建築物省エネ法改正では、2025年までにすべての建築物について省エネ基準適合が義務化されることとなっています。
また、住宅性能表示の断熱等級に、従来の「等級1~等級4」よりさらに高性能であることを示す「等級5~等級7」が加わることになりました。
上記のように、住宅性能の向上は法律などでも整備されているものです。
では、具体的に性能向上リノベのポイントを4つご紹介します。
(1)断熱
断熱リノベを行うことで、外気温からの影響が少なくなるため結露防止に役立ちます。
壁内結露が改善されると、建物の劣化を防ぐ効果がありますので性能向上を進めるうえでは重要なポイントです。
また、窓リノベとの併用により、高気密・高断熱な環境が整い、夏涼しく、冬あたたかい快適な住環境が実現できます。
(2)省エネ
省エネ住宅リノベをすることは、建物の性能を向上させる方法の一つです。
具体的には、断熱リノベ、高効率な住宅設備の設置、窓リノベなどが挙げられます。
省エネ住宅にすることで、室内の温度、湿度が安定することや光熱費の削減につながります。
室内温度の安定は、建物の劣化速度を緩和し長持ちさせる効果が期待できます。
(3)耐震
耐震性を高めるリノベは、住宅の性能向上に必要不可欠です。
特に、1981年(昭和56年)5月31日までの確認許可である旧耐震基準か新耐震基準かでは、住宅の耐震性が大きく異なります。
ある程度の大きな地震でも安心安全に暮らすためには、耐震診断、耐震補強リノベがおすすめです。
(4)バリアフリー
室内の段差解消や滑りにくい床材への交換など、バリアフリーのためのリノベも性能向上に役立ちます。
高齢者や要介護が必要な方はもちろん、介護する側も動きやすく暮らしやすい住宅であることが大切です。
コラム:最新の性能基準はどのくらい?
2025年以降は、断熱等級4未満の建物は建築許可が下りなくなることが決定されていますので注意が必要です。
現在(2025年以前)の断熱等級
断熱等級とは 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以降:品確法)で定められた、「省エネ性能」を表す基準の一つです。
省エネルギー基準ができる1988年以前の省エネ性能を等級1とし、以降省エネルギー基準が改正された年にあわせて等級2~4が定められています。
2025年以降の断熱等級
改正前にもっとも高性能とされていた等級4は、
1999年に制定された「次世代省エネルギー基準」に沿っていることを意味し、壁や天井だけでなく、窓や玄関にも断熱が施されています。
改正省エネ法では、2025年以降は断熱等級4未満の建物は建築許可が下りなくなることが決まっています。
2025年以降は今回新たに制定された、より高い等級5~7の基準を満たさなければならなくなりますので注意が必要です。
2. 性能向上リノベのメリット&デメリット
性能向上リノベには、次のようなメリット・デメリットがあります。
(1)空き家・中古住宅を最新の高性能住宅に
空き家や中古住宅を、リノベーションによって高性能住宅に変えることができます。
新築よりもコストバリューが高く、負担が少ない条件で性能向上が叶います。
ただし、高性能住宅の仕様を維持するためには、リノベとはいえ自由自在な間取りができない場合もあります。
既存住宅の柱や基礎構造などの現況により制限を受けることもあります。
(2)住宅を長寿命化
耐震性や断熱・気密性を改善することにより、住宅の長寿命化が期待できます。
誤解のないように説明しますが、既存の柱や主要な構造部分の基本的な寿命が変わるわけではありません。
しかし、特に壁内部の環境は構造体の劣化に大きく影響します。
たとえば断熱性能が低いために壁内部で結露が起きると水分が溜まり、柱などが腐食しやすくなります。
そのため、性能向上リノベで建物の環境を改善させることで、住宅の長寿命化につながります。
(3)国の補助金や自治体の助成金が使える場合がある
省エネリノベ、断熱リノベなどは国の補助金や自治体の助成金が利用できる場合があります。
カーボンニュートラルは国も積極的に推進している事業です。
建築物の省エネにつながるリノベは、要件に該当すれば対象となるため、メリットの一つといえます。
(4)住宅ローンが借りやすい
最新の性能評価をクリアした住宅の場合、住宅ローンも有利になることがあります。
性能評価が高い住宅であることで、建物の価値が上がりますので一般的な中古住宅よりも評価されます。
コラム:住宅ローンとリフォームローンのちがい
リフォームローンとは、リノベ・リフォームなどを対象としたローンです。
一般的な住宅ローンと比較すると、金利は高めな傾向があり、返済年数は最大15年と短いです。
また、借入できる金額の上限も住宅ローンよりも低く設定されていることが多いでしょう。
金利の種類としては、変動、固定型のどちらもありますが、返済年数が短いためか変動型を選択することが多い傾向です。
(5)固定資産税が上がる場合がある
性能向上リノベでは、主要な構造部分を大きく変えることもあるため、固定資産税が上がる場合もあります。
特に、柱や梁のみを残すスケルトンリノベやフルリノベーションなどでは、建築確認申請が必要なことも多いため、固定資産税に影響がある可能性があります。
3. 性能向上リノベの施工例と価格相場
ここからは、性能向上リノベの具体的な施工例と価格相場についてご紹介します。
(1)省エネ
省エネリノベは、断熱などのいくつかのリノベを総合的にまとめたものです。
省エネにつながるリノベには次のようなものがあります。
- 断熱リノベ
- 日射遮蔽リノベ
- 高効率な住宅設備の設置
- 自家発電リノベ
内容 | 価格相場 |
---|---|
省エネリノベ | 100万円~600万円 |
(2)断熱
天井、床、壁などに高性能断熱を充填したり、外壁に断熱材を施工したりするリノベです。
二重サッシの設置など窓リノベも含まれます。
内容 | 価格相場 |
---|---|
天井・床・壁断熱リノベ | 1平米あたり 4,000円~8,500円 |
窓サッシリノベ | 1箇所あたり 7万円~35万円 |
外壁断熱リノベ | 1平米あたり 4,000円~4万円 |
(3)耐震
耐震性向上のためのリノベには、次のような方法があります。
建物の耐震性を高めるリノベとなり、場合によっては基礎補強なども行います。
- 筋交い補強リノベ
- 耐震パネル補強リノベ
- 屋根軽量化のための葺き替えリノベ など
内容 | 価格相場 |
---|---|
筋交い補強リノベ | 1箇所あたり 5万円~25万円 |
耐震パネル補強リノベ | 20万円~70万円 |
屋根軽量化リノベ | 75万円~160万円 |
(4)バリアフリー
バリアフリーリノベはどの程度まで手を掛けるかにより、費用も異なります。
バリアフリーを実現するための主なリノベは次の通りです。
- トイレリノベ(引き戸、手すり、設備交換)
- 浴室リノベ(浴室を広く、手すり、暖房機、段差解消、断熱施工)
- 滑りにくい床材に張り替え
- 廊下の手すり
- 階段の傾斜緩和
- スロープ設置 など
内容 | 価格相場 |
---|---|
トイレリノベ | 約10万円~ |
浴室リノベ | 約10万円~ |
床材の張り替えリノベ | 約10万円~15万円 |
段差解消リノベ | 約5万円~20万円 |
まとめ
今回は、性能向上リノベについて、種類とメリット・デメリット、具体的な施工例と費用相場などについてご紹介しました。
断熱を含む省エネリノベは、住環境を大幅に改善してくれる効果があり、建物の劣化を防ぐことが期待できます。
また、耐震性を高めるリノベでは、建物の安全・安心を確保するために必要なリノベともいえるでしょう。
これからリノベを検討している方は、性能向上リノベを参考にしていただき、
建物の価値を高めるリノベ、快適な住環境をつくるリノベにぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。